冬に雪が降り積もるほどではない地域に住んでいるバイク乗りにとって、12月~翌年3月中旬ごろまで気になるのが「冬のバッテリー上がり対策」ではないでしょうか?

私もバイク通勤しなくなってから、寒い日が続いて2週間から3週間バイクに乗らなかったとき、いざ乗ろうとするとセルを回しても「キュルキュルキュル」と音がするだけでエンジンが掛からず。無理して回し続けると「カチカチカチ」と音がしてバッテリー終了。その後はスクーターでなければ、2速に入れて押し掛け。

長く乗り続けていると、誰でも一度はこうした経験したことがあるはずです。最近はFIになったのでかなり改善されましたが、KAWASAKIのバイクはどうもバッテリーというか初期点火が弱いようで、特に単気筒バイクは1週間エンジンを掛けないと「掛かりが良くない」ことが多いです。ちなみに奥さんのZ125PROも同じですし、私のD-TrackerXも同じ。でもモンキー125は簡単に掛かります(ホンダパワー)。

こんな経験をしないために、特に最近バイクデビューされた方へ、バッテリー上り対策について経験からお話します。

寒い日のバイクを楽しめますか?

バイクのバッテリー上り対策として、大きなポイントになるのが、寒い日のバイクを楽しめる人なのかどうかです。

例えば、下のような天気予報を見たら、走り出したくなるでしょうか?

出典:Yahoo!天気予報

ちなみに私はというと、バイクに乗るまでは寒いのが苦手なのですが、バイクのエンジンを掛けて乗ると寒いのがわからなくなる性質です。そのため、寒い日のバイクも「走り始めると楽しめる」人ということになります。

でも、楽しめない人もいると思いますので、楽しめる人、そうでない人、それぞれの対策を実体験から見ていきます。

できれば冬は走りたくない人向けの対策

とにかくバッテリーを外して、屋内で保管&充電。

ただ、内燃機関の維持も必要なので、月に1度くらいはバッテリーを取り付けてエンジンを始動し、エンジン内部へオイルが回るようにしてあげましょう。できれば近くでもいいので走っておくと、タイヤの変形も防げます。

お金に余裕のある人は、毎年3月になったら新しいバッテリーと交換するのもおすすめ。1年前のバッテリーは、コネクターを購入しておくと緊急時(災害時)の蓄電池としても使えます。家庭でできるBCP対策です。

屋内保管される場合ですが、月に1度はバッテリーを充電しましょう。

これから何年もバイクに乗るという方は、充電器を購入しておくと本当に便利です。ちなみに私は大昔に「オートバックス」で購入した充電器を今でも使っています。たぶん30年は使用しています。

バイクのバッテリー充電器
かなり古いタイプですが現役です
本来の裏面
パッケージ横

ただ注意したいのがMF(メンテナンスフリー)バッテリーは急激に電流が流れると危険です。大昔のバッテリーのように蓋がありませんので内圧が外へ逃げられないため高くなると破損(最悪は爆発)の恐れもあります。

  • かならずMFバッテリーに使える充電器を利用する
  • 充電中は目を離さない(外出しない)
  • +と-を間違えて接続しない
  • 充電クリップの取り付けや取り外しは充電器の電源を切った状態で行う(間違えると感電します)

こういった点に注意することが大切です。

充電器を購入するのはチョット高いなという方は、行きつけのバイク屋さんへバッテリーを持ち込んで充電してもらいましょう。2000円くらいで充電してくださると思います。

冬走行も楽しめる人向けの対策

週に1回、長くても2週間に一回は片道30kmは走りましょう。往復で60kmくらい(下道だと2時間くらい)が目安です。これくらい走ると内燃機関も潤いますし、バッテリーも充電されて元気になります。

なんだかんだと対策してもこの方法がベストであることは、いつの時代でも同じです。バッテリーがメンテナンスフリー(MF)になってからも同じです。MFだからバッテリーが上がりにくくなったという特性はありますが、バッテリー上がりしなくなったわけではありません。

バッテリーが弱ってるときの走り方

バッテリーが弱っているときに走って充電する場合ですが、次のポイントを守りましょう。

素早く高いギアにして、回転数を低くし、できるだけ一定の速度(制限速度内)で巡行する

「バッテリーが弱っているから、エンジンの回転数を上げれば素早く充電されるはず!」と思っている人がいらっしゃるようですが、これは間違いです。

急発進、急減速、低いギアでエンジンの回転数を高くして走行しても、バッテリーは充電されません。バイクを乗り始めた10代の頃、よく分かっていなかったのでやってしまった結果、目的地に到着してエンジンを切って休憩し、再始動しようとすると「キュ~ルキュル」とセルモーターの音がして、その後は「カチカチカチ」という音がして「シーン」となりました。

当時はまだまだ「押し掛け」が苦手な初心者でしたから、何度も何度も泣きそうになりながら押して、疲れ果てたタイミングでやっと「ブン!」って音がしてホッとした思い出があります。

原付二種から750ccくらいまでなら押し掛けはできますが、それ以上の排気量だと重いのでやりたくありません。もし、大排気量バイクで押し掛けが必要な場合は、道行くライダーをつかまえて手伝ってもらいましょう。これが転倒などのリスクを低くする方法です。

バッテリー充電&内燃機関維持の冬の走行例

我が家の原付二種の二台も継続的に走らないとバッテリーが弱ってしまいます。そこで、2022年2月17日(木)は雪が舞うという天気予報だったので、バッテリーと内燃機関維持という理由を言い訳に、寒さを満喫するため笠置の「ドライブイン大扇」「國津神社」、南山城村の「高山ダム」を散策してきました。

まずは笠置のドライブイン大扇へ

木津川市から笠置方面へ進むと、道路に気温が表示されています。

遠くに気温計があります

トラックの後ろに止まったので見てみますと3℃。撮影時間は11時です。結構寒い日というのは間違いありません。

気温計を拡大

3℃という気温を感じながら、まずは国道163号線を使って木津川を南から北へ渡っていきます。

橋の上は風が強くて寒さ倍増

国道163号線を東へ向かって進みます。体に当たる風が「寒い」のではなくて「冷たい」という表現が合っている日です。

冷たさを感じながら走っていき、まずは笠置の「ドライブイン大扇」へ到着。

誰もいない駐車場を独り占め

駐車場はガラガラだったので、好きな場所へ停めました。駐車場から向かい側を見ると、冬を感じる景色のままです。

寒そうな黒い雲が出ております

しかし、南側の木津川沿いを見てみると桜の蕾が膨らみつつありました。

かなり膨らんでいます
一ヶ月ちょっとで満開です

春は近いなと。桜の木のほうから駐車場を見ると、誰もいませんし誰も通過しませんでした。さすがに気温が低いので他にバイクはいません。

手前は「サルスベリ」の木

せっかくなので残り少ない冬の景色と一緒にZ125PROを撮影してみました。

冬の景色をバックに
ちょっとアップ気味で
引きで撮影

ここからどうしようかを悩みました。というのも気温は下がってきているのですが雪は降っていなかったから。そして空を見ても予報のように雪が降ってきそうにありません。ちょっと残念。では、雪を体験しようと思いまして、笠置から東へ向かうことにしました。

國津神社でお参り

笠置のドライブイン大扇を出発し東へ向かって走行。笠置キャンプ場を通過し笠置トンネルを越えてしばらく走ると、国道163号線沿いの右手に「國津神社」があります。

これまでも通過するとき気になっていた神社だったので、今日はお参りしようと思いまして立ち寄りました。

『國津神社』については下のサイトをご覧ください。

みんなの笠置町タウンマップ

国道163号線沿いの小さな案内板を目印にして右折して入りますと、すぐ右手に駐車場がありました。

広い駐車場の端っこに停車

広い場所のすみっこへバイクを停めてお参りにいきます。

令和に作られたっぽい鳥居

最近作られた雰囲気のある鳥居をくぐります。すると上り坂になっています。いきなり坂なのでご注意ください。

上り終えたところから振り返って撮影

坂を上っていくと二つ目の鳥居が出てきます。

こっちの鳥居は古そう

こっちが昔からある鳥居のようです(雰囲気ですが)。

二つ目の鳥居をくぐってすぐ前の社の中を見てみますと、三方に絵が掛かっています。

正面向かって左
正面向かって右
後ろ側から見た正面

劣化が進んでいるようで、どのような絵なのか判断は難しい状態です。

この社の後ろに本殿がありましたが、周囲は高い壁で囲われていたので、撮影してはいけなさそうな雰囲気を感じたため撮影しませんでした。また、本殿の横には御神木がありました。

お参りをすませてバイクの方へ戻っていきます。二つ目の鳥居から見ると、帰りはこんな下り坂になっています。

結構急な下り坂

参道の横には古そうな木があります。本殿の御神木はもっと太くて大きかったです。

木が話せたらどんな物語を語るのでしょう

参道を下ってきたので、振り返って下から撮影。

趣のある石段

次の写真が一つ目の鳥居を出たところから見た国道163号線へ出る道です。坂を上るとすぐに国道163号線です。出る時は注意しましょう。

軽バンの走っているところが国道163号線

JR大河原駅で撮り鉄気分

國津神社へお参りして、国道163号線をさらに東へ向かって進みました。すると国道163号線に沿って走っている関西本線(単線)に1両だけの電車が三重方面へ向かって進んで行きました。

この先で停車するのは「JR大河原駅」なので、ちょっと撮り鉄気分を味わいに大河原駅へ。

大河原駅に停車中
ローカル線らしい風景

駅から少しだけ東にある「南山城村やまなみホール」の駐車場へ入って、走っていく電車も撮影。

山を背景に伊賀方面へ
家の上を走ってます

都会の方ですと1両だけの電車って見かけないと思います。特に「関西本線」というような比較的知名度の高い路線ですと、最低でも二両編成で走っているように想像しますが、このあたりは通勤通学で使う人が少ないのと、車がないと生活できない地域なので40年前から大きな変化はありません。小学生の頃に乗ったときも同じ状態でした。

高山ダムで雪を探しに

電車を撮影した後は、雪を探しに標高の高い「高山ダム」へ。

ダムまでの山道を登っていきますと、木津川の上流は完全に冬景色です。

青い空と寒そうな山

河原を見ても大きな岩ばかり。木々が芽吹いていないので寒々しい雰囲気になっています。

岩がゴロゴロ~上流の証です

広角で撮影するとこんな感じに。まだまだ山の中は冬ですね。

寒々しい木々

冬の景色を眺めながらダムへ向かいます。ダムを少しだけ過ぎたところに展望台(高山ダム見晴らしゾーン)がありますので、ここで休憩。

寒いので誰も居ない

ダムを撮影しました。とても寒そうです。空も曇っているため、余計に寒そうに感じます。そろそろ雪が降らないかと楽しみにしていますが、まだ降りません。

曇ってるやん!雪降りそう!

ここでは雪は降っていないのですが、道は若干凍っています。凍結防止剤が撒かれているのでZ125PROのタイヤが白くなりました。

タイヤが白い

坂を上ったカーブはこんな感じで防止剤が散らばっています。若干ですがリアが滑ります。

滑りやすくなっています

遠くに見える山の景色も、まだまだ冬です。3月中旬には少し緑が増えてきます。

3月に入ると景色が変わります

展望台で休憩したので、さらに標高を上げていきます。

坂を上って行けばいくほど、カーブは滑りやすくなり、防止剤の量が増えてきました。

防止剤で滑るのでバンクせずコーナーをクリア中

かなり気温も下がっているように感じます。出発したところが3℃だったので、体感的には1℃か0℃ってところでしょう。そろそろ雪が降らないかなと思いながら、冷たさを感じつつ走っていきます。するとチラホラと小雪が舞ってきたところで、高山大橋へ到着。

空が真っ暗

かなり空が曇っています。カメラの露出も合わないです。すると雪が降ってきました!バイクでの寒さを満喫です。

青空と雪雲が混ざっています

時間的にも1時間半は走っているので、この辺で戻ることにしました。しかし、あまりの寒さでトイレへ行きたい。来た道を下っていくと右手に大きめの駐車場(湖のほとり駐車場)がありますので、ここのトイレを借りることに。

誰もいない駐車場を独り占め

無事にトイレ休憩を終え、駐車場から山側を見てみると、岩を削った跡が見えます。

かなり削られてます

荒々しい部分を拡大すると、こんな山肌になっています。

山崩れしないの?大丈夫?

島ヶ原の「正月堂」で書いた災害の話ではありませんが、けっこう身近な場所にも災害の原因になるところってあるんだと思います。特にバイクで走りに行く場所って、山とか海の近くが多いので、天候には注意して走らないといけないですね。

そんなことを考えつつ、小雪の舞う高山ダムを後にして、山道を下って行き「JR大河原駅」へ戻り、そのまま木津川市へ帰宅しました。

さいごに

バイクのバッテリー上り対策として、最適な順番を経験から書きます。

  1. 毎日エンジンを掛けて乗って走る(通勤通学モード)
  2. 三日に一度はエンジンを掛けて乗って走る
  3. 週に一度はエンジンを掛けて乗って走る
  4. 二週間に一度はエンジンを掛け暖機運転した後は、バッテリーを外して屋内保管で充電する
  5. 冬になったらバッテリーを外して屋内保管し、暖かい季節になるまで月に一度は充電する

30年以上バイクに乗っていますが、結局のところ毎日エンジンを掛けて走るのが一番の対策です。これ以上の方法ってないと思います。自分もそうでしたが、通勤で毎日乗っていたときは、季節を問わずバイクもバッテリーも快調でした。

「バッテリー上がったらいやだな~」と感じたり、悩んだりすることがあれば、おかしな罪悪感を覚えたまま気にしないフリをするよりも、30分でも良いので乗って走ってしまいましょう。豪雪地方の方は走りたくても走れないのですから、私たちように「寒いけれど走れる」恵まれた環境のバイク乗りは、寒風の中でも走ることが一番の精神安定剤にもなりますし、バイクやバッテリーにとっても嬉しいことになります。

「冬に走った者が春に笑う」です。何を「笑う」のかは今でも知りません。