バイクツーリングの持ち物は、必需品から始まり、日帰り、一泊、ロングツーリング、というように走り方によって内容が少しずつ変わってきます。
最近のバイクに装着されていることが増えた大型パニアケースを常時取り付けているのなら、あまり気にせずポンポンと荷物を入れても何とかなりますが、パニアを装着していないバイクだとそうはいきません。まして、タンクバッグが装着しづらいバイクやリアシートにバッグを積載しづらいバイクだと、尚更「何を持っていくか」考えておきたいところです。
そこで今回は、バイク歴30年以上の経験から身についた、自分がツーリングへ行くときの持ち物について紹介していきたいと思います。
これからツーリングを楽しまれる方。初めて泊りツーリングへ行かれる方の参考になれば幸いです。
バイクツーリングの必需品
バイクツーリングの持ち物の中には必需品があります。必需品の中には法令で義務付けられているものと、義務じゃないけど持ってないと困るものがあります。
法令によって義務付けられている持ち物
- ヘルメット
- 運転免許証
- 車両証や車検証
- 自賠責保険証
これらを持たずにツーリングすると問題になります。必需品の中でも最重要なので忘れないようにしてください。
極論を言うと、他の持ち物を忘れても日本なら何とかなりますが、上記4つを忘れると「どうにも」なりません。「まぁいいか」は警察に通用しないので、すぐに引き返して取りに戻りましょう。
マスツーリングで、こういう人が一人でもいると「ホント、シャレになりません」のでご注意ください。
法令義務じゃないけれど必需品な持ち物
- グローブ
- 健康保険証
- 現金
- キャッシュレス決済できる方法(クレジットカードやデビットカードとか)
- 任意保険の「契約者携帯カード」
- 携帯電話(スマートフォン)または、テレフォンカード
ここまでの持ち物が揃えば、最低限の装備ではありますがツーリングへ出掛けることができます。
一点覚えておいていただきたいことがあります。それは、上記「必需品」をツーリング先で紛失すると「面倒なことになる」ということ。
- 走るために手続きが必要
- 再発行に時間と手間がかかる
- 購入しないといけない
- 利用停止の申請をしないといけない
こんなことになります。ツーリング先で必需品はできるだけ「身につけておく」ことを意識しましょう。
ヘルメットに関しては、持ち歩くと邪魔になるのでヘルメットロックやチェーンロックなどを使って、バイクにしっかり取り付けておくのがベストです。ヘルメット以外は、タンクバッグやシートバッグ、パニアケースやサイドバッグへ入れたままにせず、道の駅やカフェや食堂へ入るときは自分から離さず持ち歩きましょう。
次からは、ツーリングのシーンによって追加することで、安心して走れる持ち物を紹介していきます。
日帰りツーリングの持ち物
日帰りツーリングということは、出発してその日のうちに戻ってきます。一般道なら遠くても家から半径100km圏内。自動車専用道路ならその周辺を走ることになりますので、「何かあっても」助けを求めることができます。
※日帰りツーリングの場合、原付二種なら一般道だけなので、がんばっても全行程300kmが限界。126cc以上なら自動車専用道路を使うと全行程700kmは走れます。
そのため一泊ツーリングやロングツーリングのような重装備は必要ありません。もっと気軽に持ち物を選ぶことができます。
- ライティングジャケット
- 地図またはGPS
- モバイルバッテリー
- カメラ
これくらいで日帰りツーリングは楽しめます。
女性の方は、以下の持ち物もあると快適に過ごせます。
- 日焼け止め
- お化粧直し用品
- 帽子
- ウェットティッシュ
こういうのがあると、バイクを降りた後も安心です。
人によっては、以下の持ち物を日帰りツーリングに選ばれることもあります。
- レインウェア
- 修理で使う工具
- パンク修理キット
- 予備パーツ
確かに持っていれば安心ですが、日帰りツーリングの場合は無くても何とか我慢と工夫で切り抜けられます。
例えば、突然の雨ならコンビニへ入って安いポンチョでも購入しましょう。転倒してバイクが動かない場合は、あきらめてショップやJAFなどのロードサービスへ連絡し、自分は電車やバスで帰宅しましょう。
ちょっとしたトラブル(レバー折れやパンクなど)は、最寄りのGSやバイクショップへ駆け込みましょう。日帰りコースで帰宅するまで、何とか使えれば良いので乗り切れます(自分も乗り切った経験あり)。
どちらかというと、持ち物は少なくして軽快に「楽しむこと」を最優先にしておきたいですね。
ツーリングの持ち物(一泊用)
一泊ツーリングとなると、持ち物が少し増えていきます。泊りということ。普段よりも距離が伸びること。これが理由です。
必需品と日帰りツーリングの持ち物に、以下の持ち物をプラスしましょう。
泊りツーリングの持ち物
- 着替え(季節に合わせましょう)
- 下着(1組予備があると濡れても快適さをキープできます)
- 靴下(1組予備があると濡れても快適さをキープできます)
泊りなので必要ですね。
ライディング装備
ライディング装備としては、以下の持ち物を用意したいです。
- ブーツ
- レインウェア
- ブーツカバー
- 雨が浸透しにくいグローブ
- 雑巾
ブーツ
ブーツは、くるぶしの隠れるものが理想的です。できればライティング用のブーツがおすすめです。何が良いかというと、くるぶし部分や踵部分がバイクに触れてもケガをしづらいこと。足首をかっちり守ってくれるので、万が一の転倒でもケガしづらいこと。そして、路面に落ちている石などが飛んで当たっても痛くならないことです。
バイクの操作もカッチリとしたフィーリングになり、ライディングフォームも安定するので疲れにくくなります。
雨具
雨具に関して、レインウェアを持って走る人は多いですが、ブーツカバーや雨が浸透しにくいグローブを持って走る人は少ないです。しかし、雨の中を長時間走行するとわかりますが、いくらレインウェアを来ていても、手や足が濡れてくると徐々にカラダ全体が冷たくなって走りにくいのです。
特に春や秋は想像以上に体温を奪われるので寒くて仕方ありません。雨でも安定した走行で安全にツーリングしたい人は、ブーツカバーと雨用のグローブを持ち物リストに入れておきましょう。
雑巾や汚れてもいいタオル
雑巾や汚れてもいいタオルは雨の日にお店へ入るとき、ヘルメットやレインウェアを拭くために使います。濡れたまま入店するのはやめましょう。はっきり言ってお店に迷惑です。
万が一のときの持ち物
持っていけるのなら「万が一のときのツール」も持っておきましょう。
- 修理で使う工具
- パンク修理キット
- 空気入れ
- タイヤエアゲージ
- 予備パーツ
修理で使う工具
修理で使う工具ですが、基本的には「車載工具」でOKです。ただし、プラスドライバーやレンチ関係は品質が高くないため、自分のバイクのネジやナットに合った工具を購入して持っておくと良いですね。
パンク修理キット
パンク修理キットは、チューブレスタイヤ用とチューブタイヤ用がありますので、自分のバイクのタイヤに合ったものを選びましょう。
空気入れ
どちらも注意しておきたいのは、修理した後に空気を入れる必要があることです。チューブタイヤ用の修理キットには空気が一緒に入るものもありますが、できればモバイルバッテリーで動く空気入れ「KIJIMAスマートエアポンプ JP01」があると大変便利です。エアゲージ機能も付いているので荷物が減りますし、家でも使えますので一台持っておきたいアイテムです。
チューブレスタイヤのパンクに関してですが、タイヤに釘や鉄片が刺さっているのを発見しても、その場で慌てて抜いてはいけません。チューブレスタイヤの場合、抜かなければゆっくりとしか空気が抜けないので、最寄りのGSやバイクショップまで走行して修理できる可能性があります。なかなかGSやショップが見つからない場合でも、持参している空気入れで「減ってきたな」と感じたら止まって入れてを繰り返すと、半径20km圏内に何もないような郊外でないかぎりたどり着けます。
予備パーツ(主にレバー)
予備パーツは、ブレーキレバーとクラッチレバーを持っておくと安心です。
何といっても、このパーツが一番折れやすいですから。予備のプラグやクラッチワイヤー、アクセルワイヤー、ヘッドライトの球は旧車だと持っておきたいです。
修理で便利な持ち物
後は修理で使うことの多いアイテムです。
- 針金
- ビニールテープ
- ロープ
これらがあれば、レバーやペダルが折れても、ペンチと針金で「とりあえず」走れるように応急措置できます。また、ウィンカーが折れてもビニールテープで補修できます。
ロープは5mくらいの太めのものが1本あれば、最悪、通りかかったバイクに牽引してもらえます。トラブルだけではなく、もし峠でガス欠したときにも活用できます。林道だったら動けなくなったときに、引き上げてもらうことができます。
また、次に紹介する「バイクカバー」にロープを結ぶと、風で飛んでいったり、夜間にめくられたりするのを防げます。
防犯用の持ち物
- バイクカバー
- ワイヤーロック
バイクカバー
バイクカバーは、宿泊する立地や季節で判断しましょう。防犯に不安がある場合は持っていきます。また風が強い地域や浜辺に近い地域は、夜の間に風で砂が舞ってバイクが砂だらけになることもあるのでバイクカバーをかけておくと安心です。夜露が降りる季節もバイクカバーがあると、朝に乗るとき快適です。
バイクカバーを持って走るとき、小さく畳んでもかさばりますのでホームセンターなどで販売されている衣類を入れて小さくできる「圧縮袋」に入れるとコンパクトになります。
ワイヤーロック
ワイヤーロックは、宿泊時の駐車に使います。外灯の柱やポールなどを使って地球ロックを目指しましょう。
ワイヤーロックがあるから絶対に盗難に遭わないということではありませんが、少しでも抑止力になればいいなと思って「KRYPTONITE【KRYPTO FLEX 4FT】」持っていってます(このワイヤーはロック機能がないので南京錠を一緒に持っています)。見た目の「これは切れなさそう」という雰囲気で撃退できれば儲けものです。
生活用品
- 充電器(携帯やスマホやデジカメ用)
- お薬(普段から飲んでいるもの、胃薬、下痢止め、葛根湯など)
- スキンケア用品
- ひげそり
- 老眼(50代以上の方向け)
ひげそりは男性ですね。持って行きましょう。野暮ったくなりにくいです。
年齢を重ねたことで小さな字が見づらい。そういう方は2000円くらいで販売されている老眼があるだけで快適です。
スペアキー
みなさん忘れがちなのが「スペアキー」。 これ、絶対持ってないと危険です。例えば、道の駅で休憩したとき、カギを蓋つきの側溝へ落としてしまったら・・・。ポケットに入れていて偶然曲がったら・・・。大変な労力と無駄な時間を過ごすことになります。
バイクのキーはもちろん、ワイヤーロックなどにキーを使っているのなら、これらのスペアキーも持っておきましょう。ツーリング先でキーを紛失して、身動き取れなくなるのは最悪です。
ロングツーリングの持ち物
2泊以上のロングツーリングでは、必需品と日帰りツーリングと一泊ツーリングの持ち物に、以下の持ち物をプラスしましょう。
- ライディングパンツ
- ターポリンバッグ
- 10cm×10cmくらいの板切れ
- ラジオ
ライティングパンツ
ライディングパンツがあると、長距離走行が少しは楽になります。防風効果が高いので、バタつきなどで疲れることが減ります。
ターポリンバッグ
続いてバッグです。一泊ツーリングならバッグにレインカバーをかけておけば雨が降っても何とか宿と家を往復できます。しかしロングツーリングとなると、何日も長距離を移動しますのでレインカバーでは雨が弾かなくなりバッグへ水が侵入します。最悪はバッグの中が浸水していることもあります。
そこでおすすめなのが、きちんと使えば雨が入らない「ターポリンバッグ」です。絶対に濡らしたくない持ち物を入れましょう。私は「DOPPEL GANGER【TARPAULIN DAYPACK】」を使っています。
板切れ
板切れはバイクを停めるとき、サイドスタンドの下に敷いて使います。ロングツーリングでは、ちょっとしたバイクの転倒が後の計画に影響します。地面が不安定な土や石のところはもちろん、アスファルトでも気温が高いとサイドスタンドがめり込んでしまい、バイクが傾くこともありますので使いましょう(経験済み)。
昔、小豆島へ渡るフェリー乗り場の駐車スペースで、当時乗っていたZR-7Sが傾いて隣の車ギリギリまでバイクが近づいていたときは正直ビビリました。
ラジオ(できればコンパクトなもの)
ラジオは休憩するときなど地域のことが聞けると楽しいので持っていきましょう。気分転換におすすめです。スマホでは楽しめない時間です。
下着
ロングツーリングで気になる着替えや下着ですが、3泊までなら3日分持って走ると楽です。3泊以上の場合は3泊分を持っていき、宿泊場所近くのコインランドリーを使うのがおすすめです。この方が荷物が減ります。
ツーリング前に最低限準備しておきたいこと
GPSを使って走る方が増えていますが、できれば出発前は地図とGoogleストリートビューを使って、大雑把にでもルートを確認しておくと安心して走れます。
また、県道や国道の中でも峠を越える場合は、地域の道路情報をチェックし、通行止めになっていないか確認することも大切です。
現地に行って通行止めを知ると、そこから知らないコースを使って回り道をすることになり、予定通りの時間に目的地へ到着できないため慌ててしまうと事故の原因になります。
後は、出発前日までに荷造りを完了しガソリンを満タンにしておくと、余裕をもってスタートできます。
チェックリストをPDFで用意しましたのでご活用ください
ツーリングへ出掛ける前に「忘れ物チェックリスト」としてご活用ください。必需品以外は出掛けてから購入することもできますが、持っているなら使い慣れている物を持っていきましょう。
gen2trip-touring-item46印刷して使いたい方は、以下からPDF形式のチェックリストをダウンロードできます。